母体血を用いた出生前診断 – 現在の状況 –

日本産科婦人科学会HPより 学会理事長の談話(抜粋) 平成25年1月1日

「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」について

まずは、昨年8月末にメデイアで報道され大きな話題となりました「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」についてであります。
本検査には生命倫理に関わる問題が内包されていることから、本会倫理委員会(落合和徳委員長)の中に、同検査に関する検討委員会(久具宏司委員長)を設け、
関係学会からの委員も加えて詳細な検討を行い、昨年12月15日に本会指針(案)を提示し、現在、国民のみなさまから広くパブリックコメントを求めているところです。
本年3月9日の理事会にて最終決定したいと存じますが、本検査には遺伝カウンセリングが必須であることや検査会社の問題もあり、あくまでの「臨床研究」としてスタートすべきです。
また出生前診断全般につきましては、分子遺伝学的解析技術を応用した検査が今後ますます広まることが予想されます。
そこで、本会の「出生前に行われる検査および診断に関する見解」の改定(平原史樹委員長)を行いつつ、この機会に、日本人類遺伝学会を含む関係諸団体と連携し、
わが国における適切な遺伝カウンセリング体制を構築してまいりたいと考えています。みなさまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
 また、本検査そのものにつきましては、非常にセンセーショナルに報道されましたため、逆に、一体どのような検査なのか、国民や妊婦さんに正確に理解されていないのが現状です。
本検査は、母体血中に存在する母体由来および胎児由来のDNAの量をみるものであり、特定の染色体に由来するDNA量がやや多いことからトリソミーである確率を予測する検査です。
したがって、あくまでも非確定的であり、疑われる場合は羊水穿刺による確定検査が必要です。また、陰性という検査結果にもかかわらず、最終的には陽性(偽陰性)のこともあり得ます。
これまで、記者会見などで、国民のみなさまにこのことを正確に伝えていただくよう強くお願いしてきました。
そのかいあってか、以後、次第に冷静に捉えられるようになってきたと感じています。先生方には、妊婦さんからの質問に対して正確な情報提供をお願いいたしたく存じます。

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